科学研究費基盤研究(B) 現代行政の多様な展開と行政訴訟制度改革 の研究成果を公開しています。

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現代行政の多様な展開と行政訴訟制度改革

研究代表者:村上裕章(九州大学大学院法学研究院)

グローバル化と行政救済制度

9月16日(火)17時から,九州大学大学院法学研究院・第2研究会室において,京都大学大学院法学研究科の原田大樹教授による「グローバル化と行政救済制度」と題する報告が行われた。

同報告では,近時急速な制度化が見られる投資協定仲裁と,租税条約に基づく仲裁を素材に,行政救済制度の文脈でグローバル化の影響がどのように出始めているか,その分析の際にはどのようなことが論点となりうるかが扱われた。

司法制度改革後における行政法判例の展開

2014年9月6日,九州大学大学院法学研究院大会議室において,九州公法判 例研究会との共催により,本科研の第6回研究会が開催された。今回は,本科研の研究代表者である村上裕章(九州大学大学院法学研究院教授)が,「司法制度改革後における行政法判例の展開――理論の過剰と過少」と題する報告を行った(公法学会のプレ報告を兼ねる)。

同報告は3部からなり,第1部「行政法判例の展開――戦後行政法判例の時期区分(試論)」においては,「司法の行政に対するチェック機能に対する積極性」という視点から,戦後の行政法判例を,①百花繚乱期(1945年~1970年代),②学説との乖離期(1970年代~2000年頃),③学説との協働期?(2000年頃~)に時期区分し,それぞれの時期の特色とその要因が検討された。

第2部「理論の過剰」においては,部分開示,行政主体による訴訟の提起,抗告訴訟の観念,原告適格に関する判例について,誤った理論に基づくものであり,判例の変更が必要ではないかとの問題提起がなされた。

第3部「理論の過少」においては,法規命令と行政規則,判断過程審査,処分性,国家賠償訴訟における違法性に関する判例を素材として,理論的な根拠付けの必要とその方向性が提示された。

以上の報告に基づいて質疑が行われ,判例の時期区分の観点,具体的な判例の位置付けや評価の当否などについて活発な議論が行われた。