行政争訟制度の新たな地平

第1回研究会(2019年4月20日・九州大学大学院法学研究院)

分担研究者の平山賢太郎・九州大学准教授が,「公正取引委員会排除措置命令・消費者庁措置命令に対する執行停止申立」について報告を行いました(九州公法判例研究会と共催)。

第2回研究会(2019年7月13日・九州大学大学院法学研究院)

分担研究者の原田大樹・京都大学教授が,「行政法学と警察法学」について報告を行いました(九州公法判例研究会と共催)。

第3回研究会(2020年3月5日・九州大学大学院法学研究院)

藤谷武史・東京大学教授が,「マイナス金利政策の争訟可能性――財政法分野における(行政)争訟手法の開発」というテーマで,報告を行いました。

第4回研究会(2021年4月24日・オンライン)

研究分担者の小島立・九州大学教授が、「「文化芸術活動が行われる場や組織」について」というテーマで報告を行いました(九州公法判例研究会と共催)。

第5回研究会(2021年9月18日・オンライン)

研究代表者の村上裕章成城大学教授が,「情報公開訴訟における主張・立証責任」について報告しました(九州公法判例研究会との共催)。

第6回研究会(2022年4月18日・福岡法務局)

研究代表者の村上裕章成城大学教授が,最判令和3年6月15日民集75巻7号3064頁(刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報は行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律45条1項所定の保有個人情報に当たるか)について報告しました(九州行政判例研究会との共催)。

公開シンポジウム「訴訟類型の多様化と個別行政法」(2022年12月11日・九州大学法学研究院)

2022年12月11日(土),本科研の主催により,九州大学法学研究院において,公開シンポジウム「訴訟類型の多様化と個別行政法」が開催されました(九州公法判例研究会共催)。

このシンポジウムでは,環境法,都市法,社会保障法,(個別行政法ではありませんが)憲法を取り上げ,各分野の第一人者を招聘して,訴訟類型の多様化の観点から各分野の状況を報告していただきました。

桑原勇進「行政訴訟の新類型と環境事件」では,義務付け訴訟,差止訴訟,公法上の当事者訴訟に関する近年の裁判例を取り上げ,環境法の観点(知見の不足,回復困難ないし不可能,これらと結び付けられる予防原則等)から,訴訟要件及び本案要件についていかなる問題があるかが検討されました。

角松生史「都市空間形成における行政訴訟の役割――時間の契機から」では,都市空間の形成と利用を公共的・計画的にコントロールするための制度的システムとしての都市法において,行政訴訟がいかなる役割を果たしうるかについて,「時間」の契機から,特に「タイムラグ」問題に着目して検討されました。

太田匡彦「処分を必要とする社会保障給付を求める訴訟における本案要件充足判断(違法性判断)の基準時について――仮想設例を用いた検討」では,社会保障給付を求めて提起される取消訴訟と義務付け訴訟について,いくつかの設例に基づいて,本案要件充足判断(いわゆる違法性判断)の基準時をどう考えるべきかが,具体的に検討されました。

村西良太「公法上の確認訴訟の要件と「憲法訴訟」の隘路――立法の違憲確認をめぐる若干の考察」では,在外邦人選挙権訴訟と在外邦人国民審査権訴訟を主な素材として,確認の利益のうち,対象選択の適否(地位確認か,違法確認か)と即時確定の必要性(「成熟性」はどこまで厳格に精査されるべきか)について,憲法学の観点から検討されました。

最後に,原田大樹「コメント」では,以上の諸報告のそれぞれについてコメントが加えられました。

以上の報告ののち,フロアを交えて活発な討論が行われました。