研究計画

個別行政法の視座から構想した行政争訟制度改革

研究会

第11回研究会(2019年3月2日・九州大学大学院法学研究院)

中川丈久教授(神戸大学)をお招きし,「行政法解釈の方法」について報告していただきました。

第10回研究会(2019年1月21日・福岡法務局)

研究代表者である村上裕章教授(九州大学)が,内閣官房報償費情報公開訴訟上告審判決(最判平成30年1月19日判時2377号4頁)について報告を行いました(九州行政判例研究会と共催)。

「公開シンポジウム・個別行政法から見た行政争訟制度のあり方」の概要

2018年6月30日(土)14時から18時まで,九州大学大学院法学研究院大会議室において,公開シンポジウム「個別行政法から見た行政争訟制度のあり方」が開催された。

シンポジウムの様子 はじめに,本シンポジウムを主催した科研基盤研究(B)「個別行政法の視座から構想した行政争訟制度改革」の研究代表者である村上裕章九州大学大学院法学研究院教授が,本科研の概要と本シンポジウムの趣旨を説明した。

 続いて,碓井光明東京大学名誉教授が,「不服申立制度と行政争訟制度との関係に関する総論的考察――租税事件にも留意して――」と題する基調報告を行った。不服申立制度と行政争訟制度の違いを確認した上で,不服申立制度における審理・裁断機関の独立性・公正性の確保,不服申立てと行政訴訟における処分に係る不服の扱いの連続性について論じ,租税事件に焦点を当てて現行制度の問題点を指摘した後に,不服審査制度と行政訴訟制度の関係について一般的な考察がなされた。

 続いて,山下昇九州大学大学院法学研究院教授が,「不当労働行為救済命令に対する審査制度の課題――中労委の再審査と裁判所の司法審査の並立――」と題する報告を行った。問題の所在を説明した上で,不当労働行為審査制度の現状を分析し,中労委の再審査制度,都道府県労働委員会のブロック化について検討がなされた。

シンポジウムの様子 続いて,小島立九州大学大学院法学研究院准教授が,「特許法における異議申立制度の意義について――「特許権の質」の向上という観点から――」と題する報告を行った。「特許権の質」をめぐる最近の議論を紹介し,この観点から特許法における異議申立制度の廃止と再創設の経緯を分析し,それを踏まえて,特許法における異議申立制度の果たすべき役割が論じられた。

 続いて,林秀弥名古屋大学大学院法学研究科教授が,「改正独占禁止法下における直接訴訟の意義と効果――旧法下との比較――」と題する報告を行った。独占禁止法における行政訴訟について説明した上で,直接訴訟と審判との手続上の主な相違点を分析し,直接訴訟における審理上の問題として,主張立証責任と司法審査に焦点を当てて検討がなされた。

シンポジウムの様子 休憩の後,宍戸常寿東京大学大学院法学政治学研究科教授が,憲法学の観点から,行政争訟の意義,行政機関による行政争訟,機関適正と役割分担についてコメントを行った。続いて,中川丈久神戸大学大学院法学研究科教授が,行政法学の観点から,特にアメリカ法との比較として,不服申立制度の種類,行政訴訟との関係,行政と司法との関係,不服申立機関の専門性などについてコメントを行った。続いて,原田大樹京都大学大学院法学研究科教授が,総括コメントとして,行政不服申立ての提起,審理,判断,行政訴訟との関係について,各報告の横断的な比較検討を行い,今後の課題を指摘した。最後に,以上の報告及びコメントを踏まえ,フロアを交えて活発な質疑が行われた。

「公開シンポジウム・個別行政法から見た行政争訟制度のあり方」の実施

2018年6月30日(土),九州大学において,本科研主催の公開シンポジウム「個別行政法からみた行政争訟制度のあり方」を開催しました。詳細につきましては,チラシ及びシンポジウムの概要をご覧ください。

[日時] 2018年6月30日(土)14時~18時

[場所] 九州大学大学院法学研究院 大会議室(管理棟2階)

[報告者] 碓井光明・東京大学名誉教授,山下昇・九州大学教授,小島立・九州大学准教授,林秀弥・名古屋大学教授

[コメンテーター] 宍戸常寿・東京大学教授,中川丈久・神戸大学教授,原田大樹・京都大学教授

2017年度研究概要・研究業績

2017年度の本科研の研究概要・研究業績を掲載しました。

第9回研究会(2018年3月17日・九州大学大学院法学研究院)

丹下涼氏(観光庁観光地域振興部観光資源課観光資源活用コーディネーター,前国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道企画課法規係長)をお招きし,「下水道分野における事業実施主体に関する考察」というテーマで報告していただきました(九州公法判例研究会との共催)。

第8回研究会(2018年2月4日・九州大学大学院法学研究院)

亘理格教授(中央大学)をお招きし,「在留特別許可の裁量性と「在留特別許可に係るガイドライン」の自己拘束性」について報告していただきました。

第7回研究会(2017年9月11日・福岡法務局)

研究代表者である村上裕章教授(九州大学)が,差止訴訟に関するワンコインドーム事件(大阪高判平成28年6月30日判時2309号58頁)について報告を行いました(九州行政判例研究会との共催)。

第6回研究会(2017年7月2日・九州大学大学院法学研究院)

研究代表者である村上裕章教授(九州大学)が,「個別法から見た不服申立制度と行政訴訟制度の関係」について報告を行いました。研究分担者からは各個別法における現状と課題が提起され,活発な議論が展開されました。併せて今後の研究活動について打合せを行いました。

第5回研究会(2016年10月17日・福岡法務局)

研究分担者である深澤龍一郎教授(九州大学)が,「最判平成27年12月14日民集69巻8号2404頁(市街化調整区域における開発許可取消訴訟の訴えの利益)」について報告を行いました(九州行政判例研究会と共催)。

第4回研究会(2016年10月1日・九州大学大学院法学研究院)

研究分担者である勢一智子教授(西南学院大学)及び石森久広教授(同)が,それぞれ,「審議会行政における専門性と「民意」」及び「財政民主主義」について報告を行いました(九州公法判例研究会と共催)。

第3回研究会(2016年9月3日・九州大学大学院法学研究院)

山田洋教授(一橋大学)をお招きして,「ドイツの石炭火力発電所許可の訴訟をめぐって」について報告していただきました。

第2回研究会(2016年7月9日・九州大学大学院法学研究院)

研究代表者である村上裕章教授(九州大学)が,「裁判所における情報公開」について報告を行いました(九州公法判例研究会と共催)。

第1回研究会(2016年4月23日・九州大学大学院法学研究院)

研究分担者である深澤龍一郎教授(九州大学)が,「行政不服審査法43条について」に関する報告を行いました(九州公法判例研究会と共催)。